岸辺のアルバム

多摩川水害をもとに作られた「岸辺のアルバム」

放送日

1977年6月から9月にかけて放送されたTBSの金曜日10時からのドラマで全13回。脚本は山田太一。

出演者

八千草薫、国広富之、中田嘉子、杉浦直樹、風吹ジュン、新井康弘、沢田雅美、津川雅彦、竹脇無我、村野武載など。

あらすじ

主婦の田島則子(八千草薫)は、サラリーマンの夫の謙作(杉浦直樹)と大学生の娘の律子(中田嘉子)と高校生の息子の繁(国広富之)と家族4人で多摩川の近くの家で平凡に暮らしていた。

ある日、則子の家に突然、アンケートを装い夫婦の性生活をさぐるような男性(竹脇無我)から電話がかかってくる。最初は無視をしていた則子だが、次第にその男性から、「前から、陰で見ていて素敵だなと思っていた。お茶を飲むだけでいいんです。」という言葉と主婦な退屈な生活から冒険したいと思っていた則子は、喫茶店で会う約束をする。その後、頻繁に喫茶店で会い、ついには男性から浮気の提案までされるような関係になっていった。

二人で何度も会っているうちに、息子の繁は、母に男から電話がかかってくることに気づき、母に聞くと、「学生時代の男の友達に会っている」と言われる。納得いかない繁だったが、姉の律子に相談するも、「お母さんは好きなことができないって言うの?ほっときなさい。」と言い、気にしていない様子だった。

繁はある日、思い切って、母が出かけるときに、隠れて尾行する。渋谷に着き、母が躊躇なく入って行ったのは、まぎれもないラブホテルだった。

同時に家族それぞれの問題が浮上し、繁は思い悩み、ある日、爆発するのだった。

見どころ

現在40代半ばの私は、放送当時6歳ぐらいだったので、リアルタイムでは当然のことながら見ていませんでした。ただ、山田太一の脚本、そして「岸辺のアルバム」のタイトルは聞いたことがありました。

今回、見たい!と思ったのは、このドラマが多摩川水害をもとに作られたドラマということ。少し前にテレビで多摩川水害のことを知ったのですが、1974年に狛江市で民家19戸が流失した水害があったそうです。東京でそんなことあったんだと衝撃でした。

この「岸辺のアルバム」は、内容はホームドラマですが、コメディではないのでちょっと暗めです。場面場面に少しだけ笑える要素も含んでいますが、全体では暗いですね。この当時のドラマの映像が良くないせいで暗く見えるのかもしれません。

まず見て、違和感というか、びっくりするのは、女性の言葉遣いが綺麗なことです。「おっしゃるの。」「よして。」「なんですの。」と言った言葉で主婦の会話が進んでいき、そんな言葉遣いが上品な八千草薫演じる田島則子の不倫。あんなに上品ぽいのに、という意外性が話題を呼んだそうです。

国広富之は、このドラマがデビューだそうです。高校生役なのですが、実際は当時23歳。はっきり言って高校生には見えないです。
でも無邪気な言動なので、この役は性格的には高校生なんですけどね。すぐ甘えた声で「お母さん」と呼んだり、当時はあんな素直な感じな子が多かったんでしょうか。このドラマでゴールデン・アロー賞放送新人賞を獲得したそうですが、私としては、演技はやはり新人ぽい演技だと感じました。ちょっと大げさな感じですね。かえって親友役の新井康弘の方がうまいと思いましたね。

周りの役者さんは、うまいです。杉浦直樹は、現在40代の人にはバーコードおじさんのイメージしかないと思いますが、こんなに演技うまかったんですね。家ではガミガミ親父、会社やバーの女の子には優しい、といった、よくありがちなお父さんを率なく演じています。

あと、沢田雅美も落ち着いた演技がいいですね。全く大げさな演技ではなく、自然に見える感じが良いです。

ビジュアル面では津川雅彦にびっくりしました。私達世代ですと、エロ親父の代名詞のようなイメージです。でもこの「岸辺のアルバム」では、繁の高校の担任役で、役柄での年齢が37歳と言ってましたが、恰好良いです!最初全く誰だかわかりませんでした。

中田嘉子も、昔はこんな感じだったんですね。演技も悪くないですよ。

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